すてきな花の産地から。プランツ・ギャザリング編 #04

2018/06/21

フラワーニュースクリップ

新たなシクラメンとカラーリーフが生まれる場所

 

 

養蚕からシクラメンへ

 

群馬県の北部。

 

四方を山に囲まれ、

夏には南に面する田んぼから

涼しい風が吹く心地よい場所に

今回の目的地「林園芸」はありました。

 

ときは5月下旬。

抜ける青空に山並みとハウスが

なんとも美しい景色です。

 

ここ林園芸は

鉄骨の温室およそ1,700坪、

パイプ温室およそ1,700坪に加えて

露地栽培も行っていて

なんと合計6,000坪(!)もの広大な敷地で

さまざまな植物を育てています。

 

1972年に創業以来

シクラメンをメインとして

新品種の開発や種子・苗の販売などを

手がけてきました。

 

ご案内くださったのは

二代目となる林博俊(はやし・ひろとし)さん。

背景に負けないくらいさわやかな笑顔!

 

この一帯はもともと養蚕を営んでいる地域でしたが

林さんのお父さまがシクラメンで就農し

林園芸がスタートしました。

 

林さんは大学の農学部で育種学を学び

その後イギリスに1年半ほど滞在。

その間に国際園芸学科で

さらに知識を深めてお父さまの後を継ぎます。

 

まずは林園芸の代名詞である

シクラメンの圃場からご案内いただきました!

 

 

 

奥が深いシクラメンの世界

 

ハウスにはシクラメンの苗がいっぱい!

あぁ、どうしてこんなにかわいいの……。

いつも店頭に並ぶ

立派な姿しか見たことがなかったので、

こんなに小さな様子を見ると

ここからあんなに立派になるまで育てられているんだ!と、

感動すら覚えます。

 

葉っぱの裏が紫!

シクラメンって感じがします。

これだけでもすでに美しい。

 

こちらは違う品種の

シクラメンの苗。

ギザギザ葉っぱが個性的。

 

下の2枚の写真は

シクラメンの根っこなのですが、

違いがわかりますか?

1枚目は黄色い花の根で

2枚目はそれ以外の色の花の根。

 

黄色い花が咲くシクラメンは

根っこまで黄色!

 

黄色い花でもすべてがそうだと

いう訳ではないそうですが、

知れば知るほど奥が深いぞシクラメン。

 

しかし!

 

驚きはそれだけではありませんでした……。

 

実!!!

シクラメンの実!!!!

はじめて見た……。

丸くて花みたいに裂開して

こんなにかわいかったとは……。

 

しかも。

 

この1cm足らずの実の中に

多くて50粒ほどの

種がぎっしりと入っているのだそうです。

小さいのが種です。

うわ〜、神秘。

種を見ると植物って感じが

ますます実感できて

シクラメンがもっとぐっと愛おしくなってきました。

 

実がなっている状態のシクラメン。

茎グルグル。

この茎がくるっとしている様子(サイクル)が

シクラメンの語源ともいわれているほど

特徴的なフォルムは

ちょっと怪しげでかっこいい。

 

林園芸ではこうして自家採種で

70〜80種ものシクラメンを育てています。

 

種を採り植えてから

約100日間の育種期間を経て定植。

 

毎週、株の葉を採取し

樹液の中にある肥料成分や窒素の濃度を「分析」して

その結果を参考に液肥の量などを調整します。

 

この分析を毎週、毎週

欠かさず行うことで

病気をしにくく、しっかりとした

株が育つのだそうです。

だからこそ、どの株も生き生き!

11月上旬〜12月中旬の出荷時期まで1年間、

そうして大事に育てられていくんですね。

 

ちなみに林園芸では

オリジナルの品種の研究にも熱心です。

 

たとえば、このビクトリア。

ビクトリアといえば通常は

フチの色が赤や紫ですが、

林園芸のビクトリアは濃いピンク。

 

最初のシクラメンハウスで

興奮MAXでしたが、

まだまだステキな植物たちが待ち受けていました。

 

 

 

カラーリーフの絨毯

 

突然ですが

林さんがギャザリングと出会ってから

およそ5年。

ギャザリングをはじめてから

カラーリーフの栽培もスタートしました。

 

こちらはカリシア。

トラデスカンチアの仲間で

ヨーロッパの展示会で一目惚れして

育てるようになりました。

国内ではあまり作っている人がいないのだとか。

 

ピンク色の肉厚な葉は

よ〜く見ると

光にキラキラときらめいて

吸い込まれるような美貌です。

 

日陰の暖かいところを好むので

都会の室内暮らしでも

育てやすそうなところも萌えます!

この子、ほしい!!!

 

 

こちらは露地栽培のアジュガ。

普通は葉が緑色ですが

枝代わりで生まれた黄色の葉の株を

地道に増やしてきました。

 

この輝かんばかりの黄色!

真夏はもっと鮮やかになるそうです。

 

葉の色がきれいであれば

宿根草でも

花が終わったあとも楽しんでもらえるのでは、と

林さんは考えています。

 

 

まん丸フォルムに釘付け!

こちらはサギゴケの親株。

グラウンドカバーなどに使われる園芸種です。

長年育ててこの大きさになりました。

 

 

ヘーベ‘ハートブレイカー’は

ほんのりピンクが優美。

このピンクが秋から冬にかけて

真っ赤に染まります。

冬を感じられる植物ということで、

育てるのは難しいですが

林さんのイチオシです。

 

枝垂れる姿と

淡いピンクが可憐なこちらは

斑入りのセリ‘フラミンゴ’。

乾きやすいので育てるのは簡単ではありませんが

一年中人気のある種類。

 

このフラミンゴは

1つの鉢に4本くらい植えて、

ランナーを巻き込まない仕立てになっているので

株分けをしやすい作りになっています。

 

育てる手間はかかりますが

より使いやすいものを提供したいと

見た目だけでなく“作り”にも

こだわっているんです。

 

 

ほかにもカラーリーフがモリモリ。

ていねいに水やり中。

 

花ものだってあります!

根強い人気のブルーデイジー

 

こちらはなにかというと、キキョウ。

 

枝咲きのキキョウです。

凛とした立ち姿に

少しうつむいて咲く花の様子が

清楚な美しさ。

キキョウは地元・沼田市の花でもあります。

 

ふわふわポンポンした

この子もキキョウの仲間!

タマシャジンといいます。

不思議なカタチ。

 

再びカラーリーフ。

コプロスマ‘ファイヤーバースト’の

艶やかで力強い赤に

日の光が踊ります。

 

打って変わって

白く清純な印象の

コプロスマ‘マーブルクイーン’。

 

来年春ごろには

コプロスマの新品種を

発表したいと、現在地道に研究中。

楽しみです!!!

 

 

 

育てた植物で作品を

 

さてさてお待たせしました!

最後は林さんにご制作いただいた

ギャザリング作品のご紹介です。

 

枝咲きのキキョウを主役に

濃い色を集めて構成した

エレガントな作品。

すべて林園芸で育てた花材を使用しています。

 

花材/枝咲きキキョウ、ダイアンサス‘オスカー’、コプロスマ(レインボーサプライズ、コーヒー、マーブルクイーン)、シルバークイーンタイム、タツナミソウ(紫)、ミントブッシュ‘ミラクルスター’、アジュガ‘バーガンディグロー’

 

 

オレガノのライトイエローと

ペチュニアのパープル、

補色の組み合わせがきれい。

水色の器は林さんが自身で塗装したもの。

初夏にぴったりの清々しい作品です。

ペチュニア以外はすべて林園芸生まれの植物。

 

花材/ベロニカ‘ハミングバード’、シルバークイーンタイム、タツナミソウ(白、紫)、ブルーデイジー‘キンセイ’、オレアリア‘リトルスモーキー’、ラベンダー‘スパークラー’、オレガノ‘ノートンゴールド’、クリーピングタイム(斑入り)、ペニュニア

 

 

ダイアンサスの淡いピンクを中心に

やわらかな色合いでまとめました。

白い鉢の持つナチュラルでソフトな世界観に

よく合っていて、見ていると

ふんわり優しい気持ちになれそう。

 

花材/オレアリア‘リトルスモーキー’、ダイアンサス‘オスカー’、オレガノ‘ロタンダフォーリア’、タツナミソウ(白、紫)、クッションブッシュ、ラベンダー(スパークラー、ガーデンビューティー)、ブルーデイジー‘キンセイ’、ミントブッシュ‘ミラクルスター’、コプロスマ‘マーブルクイーン’、マーガレット

 

 

 

林さんはギャザリングをはじめてから

自分で育てた植物を使って作品作りをし、

気づいたことを

栽培に生かすようになりました。

 

さらには肥料をなるべく用土に配合し

売り場でも保つようになど、

使い手のこと考慮した姿勢にも

好感が持てます。

 

個人的に

いいもの作りをしているところは

作業場所がきれいだと思っています。

 

ここ林園芸も

敷地のどこにもゴミひとつ落ちていなくて

整理されていました。

林さん曰く、お父さまの代から

そこは徹底していたそうです。

 

こんなにすばらしい環境で育つ

植物たちが、美しくないはずがありません。

 

風と太陽と愛情と。

これからこの林園芸で

どんな新しい品種が生まれるのか。

展示会にも積極的に出展されているので

いろいろなところで

うれしい出会いがありそうです。

楽しみ!

 

 

☆今回お訪ねした産地さん☆

林園芸

群馬県沼田市原町88番地

TEL:0278-22-2424(温室)

http://www.hayashiengei.com/

 

 

 

すてきな花の産地さんを

お訪ねするこの連載。さて次はどこへ?

どうぞお楽しみに!

 

 

写真/徳田悟

 

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