すてきな花の産地から。プランツ・ギャザリング編 #02

2018/04/19

フラワーニュースクリップ

散り際まで美しいサイネリアを。

さいたま市「浜野園芸」


 

三代続く、アサガオの産地


のどかな住宅街の中に
突如表れた薄くもりのハウスの群れ。
ちらりと見ると
ハウスに空いた窓から
いまにも咲きそうなサイネリアたちの絨毯が!

この健やかなサイネリアの海にダイブしたい!
と、思ってしまうほど
ふんわりとしたファンタジックな光景は
目にするだけで心躍ります。

近寄って見てもかわいい……。
花らしい形が密に咲く様は
可憐でキュート。
生き生きとした姿から
丁寧に育てられたのだろうということが
感じられます。


こちらは、さいたま市岩槻区にある
「浜野園芸」さん。
なんと三代も続くアサガオづくりの名手だそうで
育てた植物から種を採って
また育てていくという自家採種(じかさいしゅ)で
団十郎朝顔を育てています。

一般的な団十郎朝顔との違いは、葉。

普通は黄色みの強い緑をしていますが、
浜野園芸の団十郎朝顔の葉は
色がまだらに混じる斑入り。
そうすることで
ほかのアサガオと同じ鉢で育てても葉色が目立ち過ぎず
しっくりとなじんで
落ち着いた雰囲気になります。


そう教えてくださったのは
浜野園芸の濱野靖子(はまの・やすこ)さん。



花たちに負けないくらい魅力的な笑顔で
ハウスを案内してくださいました!

 

春はサイネリア。


浜野園芸さんを訪れたのは3月初旬。
残念ながらアサガオの季節ではありませんでしたが、
卒業シーズンであるこの3月は
サイネリア需要の最盛期。

どこを見てもサイネリアの花、はな、ハナ!


9月はじめに種をまいてからは
遮光、水の管理、温度管理を徹底し、
このシーズンにきっちりと花が咲くように育てます。


このハウスは五分咲きほどの状態。
2週間後、小中学校の卒業式に
巣立って行く花たちです。


式にぴったり咲かせるよう調節して
育てています。


色づいて、いまにも咲きそうな蕾。


まだまだ堅い蕾もかわいい。


浜野園芸のサイネリアは
株の大きさも評判で、
毎年注文ですべて行き先が決まってしまうほど
根強い人気があるんです。

その秘密は、自家採種。
なるべく花が大きく咲く株をピックアップして
種を採って育てます。
そうして時間をかけて
ゆるやかに大きなサイネリアを育ててきました。


このしっかりとした大きさ!
出荷前には一鉢ずつ手入れをして
心を込めて送り出します。



昭和59年に建てられたハウス。
大事に使い続けていて素敵です。


最近では卒業式だけでなく、
入学式まで使いたい
という声も多くなってきたそうで
そのための工夫もしています。

散り際に花が茶色っぽくなりづらい、
“濃い色の花”を育てることです。

濃い紫、濃いピンクなどの
濃いめの色は
枯れ際になっても花色の変化が
気になりづらく、
逆に淡い色の花はそれが気になります。

卒業式から入学式まで。
長期間飾っても、
変わらず美しい花を。
大切な思い出を飾る花だからこそ
要望に応えたい、という
真摯な姿勢に
花たちも応えているような気がします。




浜野園芸では
このサイネリアやアサガオのほか、
花苗や野菜苗など
いろいろな植物を育てています。

もう、寄せ植えしたものが欲しい。


サイネリアの最盛期でお忙しいところ
丁寧にハウスをご案内くださった
濱野靖子さん。

実は濱野さん、元は花の生産とは
まったく関係のない仕事についていましたが
出産を機に退職。
その後ご主人のご実家である
浜野園芸を手伝うようになりました。

もう寄せ植えしたものが欲しい。

そうお客さまに言われたのがきっかけで
鉢やプランターに苗を植えて
直売所で売るようになり、
そうしたらちょくちょく売れて、
それがうれしくて
次どうしようと考えるのが楽しみになっていったそう。

そして、ある日
ご主人の勧めでギャザリングに出会います。
はじめたときは妊娠6ヵ月でしたが
ギリギリまで教室に通い、
1年の産休を経て再び習いはじめ
無事に公認ギャザリストになりました。

そんな濱野さんに
ギャザリングの作品を
見せていただきました!



インパクトのある
青のサイネリアの美しさを生かした
ゴージャスな作品!
あふれ出るように垂れ下がる
赤いチェッカーベリーの実がアクセントに。

Flower/
サイネリア
ビオラ‘しんしん’
ネメシア
チェッカーベリー
ヘデラ
シロタエギク




ビオラ‘しんしん’の
アンティークカラーを主役に
シンプルなデザインで。

Flower/
ビオラ‘しんしん’
ヘデラ
ワイヤープランツ



ふんわりフワフワ、
やさしげな空気が漂うリース。
ビオラのフリフリした花びらの間から
白い小さなハナカンザシが顔を出す。

Flower/
ビオラ‘しんしん’
ハナカンザシ
カルーナ・ブルガリス
スペアミント、タイム



ちなみに作品で使用している
ビオラ‘しんしん’も
濱野さん自身で育てたもの。

ビオラはずっと生産品目として
育てていましたが、
これまではホームセンター用の
はっきりした花色だけでした。

それがギャザリングをはじめてから
こうしたやさしい色合いのものも
育てるようになりました。


それはギャザリングで使用するときは
ほかの花と組み合わせて
なじむ色の方がよい、と思ったからです。

それ以外にも
学校用のトマト苗の余剰で
ギャザリングのリースを作ったところ
大反響で、
今年はギャザリングに使える
トマト苗の受注生産も行う予定とか。

ギャザリングを通じて
生産の幅が広がり、
それがまた作品のクリエイティビティを高め、
人のつながりにもなる
そんなサイクルができ上がりつつあります。


「アサガオの伝統を受け継ぎながら、
いろいろな声を聞いて
新しいものも育てていきたいです」
そう話す濱野さん。


サイネリアの花言葉のひとつに
「喜び」という
言葉がありますが、
濱野さんの作品やチャレンジ精神も同じように
たくさんの人に喜びを届けていると
感じるひとときでした!




☆今回お訪ねした産地さん☆
浜野園芸
埼玉県さいたま市岩槻区黒谷1916
TEL:048-798-0953
Facebook:朝顔農家*浜野園芸


すてきな花の産地さんを
お訪ねするこの連載。さて次はどこへ?
どうぞお楽しみに!


写真/徳田 悟

 

過去の記事はこちら

→ すてきな花の産地から。プランツ・ギャザリング編 #01(埼玉「大谷園芸」)

 

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