フローリスト・レビュー2011初代ファイナリストにして優勝者、平野弘明さん。
2012年の一年間、フローリストの表紙を担当していただいた。
平野さん自身の活動としても、さまざまなイベントに招聘され、
また、友人のプロミュージシャンのCDジャケットに作品が掲載されるなど大活躍。
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?1年間表紙のアートワークを終えての
月刊フローリストの表紙とはいえ、商業誌なので、
営業的な側面や、さまざまな人の要望を受け入れての
アートワークの依頼だったが、
表紙を担当しどうお考えになったか、話を伺った。
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ーーこれまで作品を雑誌に掲載していただいたりしたことはありましたが、表紙を手がけるのは初めてでした。
毎月特集テーマがもうけられていて、それに沿った表紙が求められていたので、(テーマが)難しいところもあったり、いい感じにはまるところもあったり。
商業誌の表紙として求められることは何かを考えながら取り組んでいきましたが、結局はお店でお客様にご注文いただいて花束を作るのと変わらないと思いました。いかに相手の意図や気持ちをくみ取るかが大事なんだと。
僕も10年くらい『フローリスト』を読んでいますが、作品が前面に出た表紙が多かったような印象がありました。今回させていただいたように、特集の内容とここまで連動しているのはなかったのでは……と。
?編集部、カメラマン、デザイナーなど、いろいろな方の色が入って表紙ができあがりますが、
全部を見返してみるときちんと自分の色が出ているような気がします。
一年間、いろいろなことをさせてもらって楽しかったです。
いちばん印象的な表紙は、
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?普段はアレンジを作ったり、花束を作ったりしていてそういうことは慣れていますが、この回は工作というか、普段やっている仕事と別分野のことに取り組んだので、作っていて楽しかったです。
?※ 編集部註:
(8月号のお花屋さん特集の表紙は、ただお花屋さんの店頭で撮影するのでは普通すぎるので、なにかおもしろい見せ方はないかと平野さんをはじめ、デザイナー、編集部で考えた。辿り着いたのが、ミニチュアという案。はじめはできあがったミニチュアを購入して、そこに平野さんに花だけをレイアウトしてもらおうと考えたが、平野さんの「全部作りますよ」という一言でお任せすることになった)
?ほかにも、11月の実物の表紙が好きですね。
この月は、今までの王道なフローリストらしい表紙のイメージでした。
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?カメラの号(5月号)も別冊の表紙にモデルとして登場させていただいて、ちょっと恐縮でしたが……この回は他分野の方々も買ってくださったようでいろいろお声掛けをいただきました。
9月号のダリアの回も思い入れが深いです。
2月号のチョコレートを使った作品は、
?バレンタインというテーマだったのでチョコレートを使いたいと思っていたのですが、
編集部からも「チョコレートを使っては」という声をいただいたのでチョコの作品を作りました。
3月号の花束の表紙は、春先で、花束。何の花を使おうかというところから決めましたし。
?う~ん……、1~3月号の撮影ですかね。徹夜作業が大変で……(苦笑)。
1月号は河原で撮影して、砂埃が舞う中、風や通行人の方などを気にしながらでした。あの時は高架下での撮影でしたが、川に花を生けてみたかったです。河原で撮影したということが伝わるかなと。
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※編集部註:
(1~3月号の表紙撮影は、1日で敢行。前日、平野さんは仕事終わりのその足で名古屋から新幹線で東京に夜到着。夜を徹して表紙の作品作りへ。3号分の表紙ともなると花材もたくさん!ということで、トラックで作業場所から撮影場所へ移動。駐車している少しの合間に、トラックの荷台でうつらうつら夢心地な平野さんの姿も……)
?実は表紙を担当させていただくと決まった時、
撮影とか具体的な打ち合わせに入る前に思っていたことがあるんです。
?花のアップを撮れるといいなと。
?パッと見るだけではわからない花の表情を探し出すというか、
花を細かく見ていくと、茎の空洞、綿っぽいところ、断面とか、いろいろな顔があって。
?
そんな、普段見えないところを見つけて伝えることも、おもしろそうだなと思います。
これからの自分の活動には、そういった視点をいれていきたいと考えています。
平野弘明 ?Hiroaki Hirano?
2001 ふらわーしょっぷ窓花入社
2008 JFTDジャパンカップ大阪大会 第二位 農林水産大臣賞受賞
2009 ライブパフォーマンス Synchronicity03開催
2010 SYNCHRONICITY at Live&Lounge Vio開催
個展?ART BOTANIQUE BRUT UNDER WORLD ギャラリー名芳洞(名古屋)
2011 フローリスト・レビュー2011ファイナリスト優勝