【WEB連載】パリ花修行物語 vol.02

2017/01/20

パリ花修行物語

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パリのフローリストになるまで

海外修行に向かう多くのフローリストに贈る、パリ修行物語。今、パリで活躍中のフローリストの経験から、現在進行形のパリ・シーンのレポート。

文・写真/斎藤由美 無断転載禁

パリの人気フローリスト「ローズバッド」のオーナー、ヴァンソン・レサールさん



 

vol.02  1年の滞在計画。

 

信州の小さな町の公民館で、

生涯学習の講師としてフラワーアレンジメントを教える機会を得た私が、

花の雑誌や本を見るたびに「わぁ、これ素敵!」と惹かれるのは、

きまってクリスチャン・トルチュの花でした。

 「いつかパリに行って、この人のもとで実際に作品を見て、勉強したい」

という思いがわきあがり、

仕事に生きがいを感じていた私は、

洗濯物を干しながら

「家族がいなければ、今すぐにでもパリに行けるのに」

などと考えていたものです。

そんなダメ「妻・母・嫁」にある日、鉄槌がふり下ろされます。

 

 一生を、ともに生きようと決めた人から

「別々の人生を歩みたい」と宣言されてしまったのです。

 一人娘もまだ小学生でしたし、

自分の至らない部分は改めるよう努力してみましたが、

事態は変わらず。泣いてばかりもいられません。

苦悩と葛藤の末、「それならば、ずっと行きたかったパリに行こう!」と決め、

1年の猶予をもらい貯蓄を強化すると同時に、

パリの無料情報誌「OVNI」のサイトで家探し。

東京のフランス大使館に問い合わせ、

パリに日本人が通える花の学校があるのか、

そこで学生ビザが取れるのかなど情報収集しました。

せっかく行くのならパリの四季の花を見たいと思い、

1年間の滞在計画。もう後のない背水の陣ですから真剣です。

 パリにはそれまでに2回、旅行で訪れていました。

 

「長野から、いきなりパリへ花留学」というと

「まずは東京に出ることを考えなかったの?」

と驚かれますが、

本当に欲しいものがわかっているのに、

なぜ遠回りをしなくてはいけないのでしょう?

 

 東京もパリも、かかる生活費は同じです。

時間も、エネルギーも、お金もムダにはできません。

心の中に「いつかパリへ」という思いがあったら、

東京にいても決して自分の生活に満足することはなかったでしょう。

 だからといって、むやみに飛び込めといっているのではありません。

目的を成功させるには、勢いも大事ですが、やはり周到な準備が必要です。

 次回は、語学や金銭面でどのくらい準備をしたか、具体的にお話しましょう。

次回へつづく


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斎藤由美 Yumi Saito

パリ在住フラワーデザイナー・フォトエッセイスト。日本でフラワーアレンジメント教室主宰後、2000年にパリ花留学へ。花の学校に通いながら憧れのフラワーアーティストのショップの門を半年間たたき続け、研修生となる。その後、「VARDA」のスタッフとしてコンペに勝ち抜き、ホテル・リッツ・パリの全館花装飾に携わる。著書に『二度目のパリ』(ダイヤモンド社)。『ヨーロッパのフローリスト』(誠文堂新光社)パリ部門を担当など。

http://ameblo.jp/yumisaitoparis/

(本連載はフローリスト誌に掲載されたアーカイブスを再編集しております)

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